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12/01/07「ほころぶ花」up
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2012.01.07 *Sat
遙かなる時空の中で4
風早×千尋>>
気に入りのかなしみ / かなしみは名前から / 廻るハッピーエンド / 言葉にならない / 星祭りの夜に / 幸福 / 幸せになれなかった少年のはなし / 名前を呼ばないで
その他>>
特別であっても / スキンシップ・タイム / 見ず知らずの恋が訪れるまで
D.Gray-man
許されなくていい、 / 短いお話を一つ聞いてよ / かなうのにかなわない / 唇から生まれる / 花の名前も知らずに / 間違えた夜 / 聞こえないふり / 大したことは / 他愛ないおしゃべり / 神さまが不在であったために / Halloween Party / また今日もひとつ星が落ちる / 世界を積み重ねて / このままで、このままなら / 終着駅に着くまでは
家庭教師ヒットマンREBORN!
聞かせてくれれば / てのひらのなか / 滲み出す色を持たない / 春の少女 / 漆黒に恋をする / 身近にいるっていうのが王道だけど / ひだまりの家族のために / Love Girl
TALES OF THE ABYSS
軋む音がする / 無意識に、意識 / 出来ることをする / ドキリと高鳴る / 苺のような君 / 何て不似合いな / リボンへ悪戯
Starry☆Sky
星々が瞬く前に / 恋 / 心は準備しておいた / ストロベリーショートケーキのティータイム
うたの☆プリンスさまっ♪
イノセントボーイ / 恋を失ったピアニスト / ともだちでそれから
ワンドオブフォーチュン
甘い悪意 / 魔法を唱えて
その他
青だったかも知れない / 行きたくない帰りたくない / 違和はほんの少し / 気づかない振りをしているんだろう / アンダンテ / ほころぶ花
風早×千尋>>
気に入りのかなしみ / かなしみは名前から / 廻るハッピーエンド / 言葉にならない / 星祭りの夜に / 幸福 / 幸せになれなかった少年のはなし / 名前を呼ばないで
その他>>
特別であっても / スキンシップ・タイム / 見ず知らずの恋が訪れるまで
D.Gray-man
許されなくていい、 / 短いお話を一つ聞いてよ / かなうのにかなわない / 唇から生まれる / 花の名前も知らずに / 間違えた夜 / 聞こえないふり / 大したことは / 他愛ないおしゃべり / 神さまが不在であったために / Halloween Party / また今日もひとつ星が落ちる / 世界を積み重ねて / このままで、このままなら / 終着駅に着くまでは
家庭教師ヒットマンREBORN!
聞かせてくれれば / てのひらのなか / 滲み出す色を持たない / 春の少女 / 漆黒に恋をする / 身近にいるっていうのが王道だけど / ひだまりの家族のために / Love Girl
TALES OF THE ABYSS
軋む音がする / 無意識に、意識 / 出来ることをする / ドキリと高鳴る / 苺のような君 / 何て不似合いな / リボンへ悪戯
Starry☆Sky
星々が瞬く前に / 恋 / 心は準備しておいた / ストロベリーショートケーキのティータイム
うたの☆プリンスさまっ♪
イノセントボーイ / 恋を失ったピアニスト / ともだちでそれから
ワンドオブフォーチュン
甘い悪意 / 魔法を唱えて
その他
青だったかも知れない / 行きたくない帰りたくない / 違和はほんの少し / 気づかない振りをしているんだろう / アンダンテ / ほころぶ花
ほころぶ花
2012.01.07 *Sat
うとうとと閉じかけた瞼の上に、そっと近づく気配がある。それが何なのか即座には判断出来ず、微睡みの誘惑に負けて目を閉じてしまった。小さく息を呑む音。微かな音だったがそれは確かに届き、ああ、と何となく納得出来た。だから甘い匂いが。
「――……エステル」
唇を動かすのも億劫であったが、脳裏にひとりの少女の姿を思い浮かべる。ユーリ、と彼女が呼ぶ。ふんわり、やわらかに。桃色の髪の少女の周りには、溶けるような淡い色の花弁が幾重にも舞っている。ユーリ、起きているんです?穏やかな響きに、また僅かに瞼が重くなる。緩やかではあったが、夢の世界へと誘われているようだ。
「……ユーリ」
不意に零れ落ちた音が妙に心地良くて、頬が緩んだ。今、エステルがどんな顔をしているのか。それがどんなことよりも容易に想像出来て、苦笑が漏れる。どうしようもねぇな、俺も。
「どんな夢を見ているんです?」
エステルの、淋しげな声が聞こえた。脳裏の中で溢れるような笑みを浮かべる少女と、現実の彼女の声音が重ならない。起きねぇと、と思うのだがどうしても重くなってしまった瞼を持ち上げることが出来ない。何故だろうか。今日はひたすらに眠かった。
「ずるい」
甘い音が落ちる。鈴のように軽やかな声が、小さく音を成した。ずるいです、ユーリ。エステルの唇から、吐息が落ちる。
「いつも私を置いていく」
頬に掛かった吐息には熱を感じるのに、彼女の声音は静かだった。頭を撫でる掌はエステルのものだろうか。指先を離す気配を感じ、少し残念に思う。
「ユーリは」
紡がれる言の葉に耳を傾ける。脳裏の少女の笑顔が影を作り、切なく笑んだ。ひらり、と花弁が舞い落ちていく。
「私のこと、どう思っていますか」
なんて、と呟いた瞬間少女は宵闇の中へ消えていった。途端、嘘のように眠気が消え失せる。私、おかしいですよね。仄かに染まる白い頬が視界に入ると、自然と口元が動いた。
「好き」
思ったよりも大きくなった声は、びくりとエステルの肩を震わせる。目を大きく見開いて、数度瞬きを繰り返すお姫様の姿が何だかとてもおかしい。エステルの、驚きとも困惑とも取れないその微妙な表情が不思議だったのだが、それ以上におかしくなる気持ちを抑えられなかった。くっ、と声を漏らしたのは数秒も経過しない後のこと。ようやく目の前の少女の思考がのんびりと動き出したのだろう。いつもはお上品に開かれる口が大きく開かれて、可愛いなと思った。無防備なエステルの、驚いた顔を見るのがユーリは好きだった。
「えっ、ユーリ起きて――」
「なーんて、な」
エステルが言葉を紡ぐよりも早く、混乱した彼女の頭を乱暴な手付きで撫でる。やめてください、と眉を下げながら呟く声は普段よりもか細い。その顔だけで十分だ。心の中に生まれた満足感に思わず笑みが零れる。
「じゃ、おやすみ」
「……えっ」
目をぱちくりとさせる少女にひらひらと手を振ると、再度微睡みの世界へと誘われるかのように瞼を閉じた。遠くで聞こえる、エステルの声。
「……やっぱり、ユーリはずるいです」
意識を手放す直前、囁かれたのは甘い音だった。きっとエステルは笑っている。そう考えると、良い夢が見られる気がした。
(ほころぶ花)
とある方への捧げものユリエスです。お誕生日おめでとうございます!
「――……エステル」
唇を動かすのも億劫であったが、脳裏にひとりの少女の姿を思い浮かべる。ユーリ、と彼女が呼ぶ。ふんわり、やわらかに。桃色の髪の少女の周りには、溶けるような淡い色の花弁が幾重にも舞っている。ユーリ、起きているんです?穏やかな響きに、また僅かに瞼が重くなる。緩やかではあったが、夢の世界へと誘われているようだ。
「……ユーリ」
不意に零れ落ちた音が妙に心地良くて、頬が緩んだ。今、エステルがどんな顔をしているのか。それがどんなことよりも容易に想像出来て、苦笑が漏れる。どうしようもねぇな、俺も。
「どんな夢を見ているんです?」
エステルの、淋しげな声が聞こえた。脳裏の中で溢れるような笑みを浮かべる少女と、現実の彼女の声音が重ならない。起きねぇと、と思うのだがどうしても重くなってしまった瞼を持ち上げることが出来ない。何故だろうか。今日はひたすらに眠かった。
「ずるい」
甘い音が落ちる。鈴のように軽やかな声が、小さく音を成した。ずるいです、ユーリ。エステルの唇から、吐息が落ちる。
「いつも私を置いていく」
頬に掛かった吐息には熱を感じるのに、彼女の声音は静かだった。頭を撫でる掌はエステルのものだろうか。指先を離す気配を感じ、少し残念に思う。
「ユーリは」
紡がれる言の葉に耳を傾ける。脳裏の少女の笑顔が影を作り、切なく笑んだ。ひらり、と花弁が舞い落ちていく。
「私のこと、どう思っていますか」
なんて、と呟いた瞬間少女は宵闇の中へ消えていった。途端、嘘のように眠気が消え失せる。私、おかしいですよね。仄かに染まる白い頬が視界に入ると、自然と口元が動いた。
「好き」
思ったよりも大きくなった声は、びくりとエステルの肩を震わせる。目を大きく見開いて、数度瞬きを繰り返すお姫様の姿が何だかとてもおかしい。エステルの、驚きとも困惑とも取れないその微妙な表情が不思議だったのだが、それ以上におかしくなる気持ちを抑えられなかった。くっ、と声を漏らしたのは数秒も経過しない後のこと。ようやく目の前の少女の思考がのんびりと動き出したのだろう。いつもはお上品に開かれる口が大きく開かれて、可愛いなと思った。無防備なエステルの、驚いた顔を見るのがユーリは好きだった。
「えっ、ユーリ起きて――」
「なーんて、な」
エステルが言葉を紡ぐよりも早く、混乱した彼女の頭を乱暴な手付きで撫でる。やめてください、と眉を下げながら呟く声は普段よりもか細い。その顔だけで十分だ。心の中に生まれた満足感に思わず笑みが零れる。
「じゃ、おやすみ」
「……えっ」
目をぱちくりとさせる少女にひらひらと手を振ると、再度微睡みの世界へと誘われるかのように瞼を閉じた。遠くで聞こえる、エステルの声。
「……やっぱり、ユーリはずるいです」
意識を手放す直前、囁かれたのは甘い音だった。きっとエステルは笑っている。そう考えると、良い夢が見られる気がした。
(ほころぶ花)
とある方への捧げものユリエスです。お誕生日おめでとうございます!
終着駅に着くまでは
2011.12.31 *Sat
聞き慣れない異国の言葉に、ラビはふと耳を傾ける。停車した列車の窓から顔を出せば、美しい容貌の女が泣き叫んでいた。傍らにいる人物は彼女の恋人なのだろうか。寡黙な雰囲気を漂わせたその男は、恋人の耳元で一言、何かを呟く。それがおそらく別れの言葉だったのだろう。女が男の名前を呼んでも、彼は振り返らなかった。武器を携えた男は、軍服を着ていた。
「――戦争、か」
感情の見えない声が、ラビの座席の隣に座っていた少女に届く。悲劇はどんなところにだって在る。それが例え名も知らない異国の地であろうと。
「……リナリー」
まだ窓の外に視線を向けている若きブックマンの指がリナリーの掌に触れて、そのままそっと手を握られる。触れられた指先から伝わる温度は温かくて、ほっと唇から安堵のため息が零れた。彼は、まだここにいる。私の大切な仲間は、まだここに。
ラビ。囁くように優しく、リナリーは彼の偽りの名を言の葉に乗せた。悲しいさ、と呟くラビの声音は、リナリーの胸に波紋を生んでいく。記録者としての彼がどう在らなくてはならないのか。もうその答えを知っているから、何かを言葉にすることは出来ない。
「……この街は、どういうところなのかな」
ぽつりとリナリーが尋ねると、ラビは苦笑いを零しながら淡々とした口調で言う。音楽家や芸術家が愛したところで、かつては美しい場所だったと。
「この街は近隣の国との距離が近いんさ。んで隣国と戦争を始めた数年前からは、軍人を中心とした奴らばっかり」
そう、と返事をしながらリナリーはラビを見つめる。紡がれる情報はリナリーにとって無意味なものだが、ラビにとってはどうなのだろう。握られた手を握り返しながら、哀しい感情を灯した仲間のことを考える。いつか。今ではないいつかは、私のこともみんなのことも、こんな風に彼は語るのだろうか。まだ何処かはわからないが、ここではない居場所で。
「ラビ、」
懇願するような声が漏れてしまう。駄目なんだとわかっている。ラビを困らせることなんてしたくないのに。
さびしい、とリナリーはラビの腕にしがみついた。ぎゅっと固く目をつぶって、子供のようにわがままを呟く。さびしくてさびしくて堪らないのは多分、彼が優しい人だと知っているから。
戸惑ったように、ラビの身体が僅かに震えた。瞼の上に細い髪が掛かって、彼の匂いがする。ゆっくり、ゆっくりを息を吸って吐息を漏らした。
「オレは、コムイじゃないさ」
「……わかってる」
わかってないさ、とラビは艶やかなリナリーの髪を撫でる。おそるおそる紡がれた声は、まるでお伽噺を語る旅人のものみたい。優しい音にぼんやりとして、何も考えていたくなくなる。
「わかっていなくても、どっちでもいいじゃない」
緩みそうな涙腺を何とか抑えて、ゆっくりラビの腕から顔を離す。至近距離に見えるのは眼帯の不器用な青年。ラビ、とリナリーは甘く囁いた。仄かに彼の頬が染まったように見えたのは、目の錯覚だろうか。
「いっしょにいて、ね」
やわらかく零す微笑みに、彼が応えてくれますように。切ない願いを込めながら、リナリーはそう言ってラビの身体に身を預けた。
(終着駅に着くまでは)
久々のラビリナでした。
「――戦争、か」
感情の見えない声が、ラビの座席の隣に座っていた少女に届く。悲劇はどんなところにだって在る。それが例え名も知らない異国の地であろうと。
「……リナリー」
まだ窓の外に視線を向けている若きブックマンの指がリナリーの掌に触れて、そのままそっと手を握られる。触れられた指先から伝わる温度は温かくて、ほっと唇から安堵のため息が零れた。彼は、まだここにいる。私の大切な仲間は、まだここに。
ラビ。囁くように優しく、リナリーは彼の偽りの名を言の葉に乗せた。悲しいさ、と呟くラビの声音は、リナリーの胸に波紋を生んでいく。記録者としての彼がどう在らなくてはならないのか。もうその答えを知っているから、何かを言葉にすることは出来ない。
「……この街は、どういうところなのかな」
ぽつりとリナリーが尋ねると、ラビは苦笑いを零しながら淡々とした口調で言う。音楽家や芸術家が愛したところで、かつては美しい場所だったと。
「この街は近隣の国との距離が近いんさ。んで隣国と戦争を始めた数年前からは、軍人を中心とした奴らばっかり」
そう、と返事をしながらリナリーはラビを見つめる。紡がれる情報はリナリーにとって無意味なものだが、ラビにとってはどうなのだろう。握られた手を握り返しながら、哀しい感情を灯した仲間のことを考える。いつか。今ではないいつかは、私のこともみんなのことも、こんな風に彼は語るのだろうか。まだ何処かはわからないが、ここではない居場所で。
「ラビ、」
懇願するような声が漏れてしまう。駄目なんだとわかっている。ラビを困らせることなんてしたくないのに。
さびしい、とリナリーはラビの腕にしがみついた。ぎゅっと固く目をつぶって、子供のようにわがままを呟く。さびしくてさびしくて堪らないのは多分、彼が優しい人だと知っているから。
戸惑ったように、ラビの身体が僅かに震えた。瞼の上に細い髪が掛かって、彼の匂いがする。ゆっくり、ゆっくりを息を吸って吐息を漏らした。
「オレは、コムイじゃないさ」
「……わかってる」
わかってないさ、とラビは艶やかなリナリーの髪を撫でる。おそるおそる紡がれた声は、まるでお伽噺を語る旅人のものみたい。優しい音にぼんやりとして、何も考えていたくなくなる。
「わかっていなくても、どっちでもいいじゃない」
緩みそうな涙腺を何とか抑えて、ゆっくりラビの腕から顔を離す。至近距離に見えるのは眼帯の不器用な青年。ラビ、とリナリーは甘く囁いた。仄かに彼の頬が染まったように見えたのは、目の錯覚だろうか。
「いっしょにいて、ね」
やわらかく零す微笑みに、彼が応えてくれますように。切ない願いを込めながら、リナリーはそう言ってラビの身体に身を預けた。
(終着駅に着くまでは)
久々のラビリナでした。
ストロベリーショートケーキのティータイム
2011.12.31 *Sat
薔薇色の頬がだんだんと緩んでいくのを見つめ、何となく掛ける言葉を失う。白い生クリームが印象的な柔らかいスポンジのケーキ。その欠片を銀のフォークに突き刺しながら、月子は少しずつ口に運んでいる。まるで大切な宝物を食べるような表情に、颯斗は眉を顰めた。愛らしい唇が感嘆の声を漏らすたび、小さな苛立ちが込み上げた。彼女を虜にしてしまう魔性のケーキなどなくなってしまえばいいのに。桜色の唇に触れるものなど、僕だけで十分なのだから。
「颯斗君」
歌を口ずさむようなやわらかさで、月子は颯斗を呼んだ。颯斗君、美味しいよ。呟く月子の声は甘美で魅惑的であった。アイスティーの入った透明のグラスをテーブルに置き、そうですかと言葉を返す。我ながら感情のこもらない声だと、内心感心してしまう。カランと氷の溶ける小さな音が、何故か颯斗には大きく感じた。ガムシロップ入りのアイスティーを飲んでいたのはつい先程のことなのに、もうどんな味であったかよく思い出せない。
「月子さんは」
フォークを持たない方の細い指先を自分のものに絡ませて、颯斗は薄く微笑んだ。掌から伝わる微かな月子の体温が心地良い。
「颯斗君?」
「甘いもの、お好きなんですね」
驚いたようにして瞬きを繰り返す月子を誤魔化し、颯斗は言葉を紡いだ。うん、好きだよ。握り返してくれる掌に彼女を感じながら、その言の葉の音を聞く。楽譜に描かれたメロディを奏でるような声音に僅かな間、うっとりと瞳を閉じた。本当にあなたという人は。
「……食べてしまいたいです」
くすりと微笑を零し、白く滑らかな手に口付けを落とした。颯斗君っ!動揺したような声を遠くところから聞いて、ゆっくり顔を上げる。染め上がっている上気した頬に触れて、颯斗は嘘っぽい謝罪を口にした。すいません、つい。
「もう……。そんなにケーキが食べたいならあげるのに」
月子は恥ずかしそうに顔を伏せると、味が薄くなってしまったアイスティーに手を伸ばす。あんまり美味しくなくなっちゃった。ストローを口に含み、不機嫌そうに呟く姿が子供のように可愛らしい。
「最初は美味しかったんですけどね」
にこやかに笑い、小さな嘘の科白を吐いた。本当は美味しくなかった、と言えば彼女はどんな顔をするのだろう。ケーキもアイスティーも、あなたの味に比べたら。
微笑みを顔から消去し、颯斗は月子の食べかけたケーキの皿を手に取る。突き刺すのは勿論、苺から。
(ストロベリーショートケーキのティータイム)
そらそら誕生日のときに書いたもの。ケーキの話が書きたかったんです。
「颯斗君」
歌を口ずさむようなやわらかさで、月子は颯斗を呼んだ。颯斗君、美味しいよ。呟く月子の声は甘美で魅惑的であった。アイスティーの入った透明のグラスをテーブルに置き、そうですかと言葉を返す。我ながら感情のこもらない声だと、内心感心してしまう。カランと氷の溶ける小さな音が、何故か颯斗には大きく感じた。ガムシロップ入りのアイスティーを飲んでいたのはつい先程のことなのに、もうどんな味であったかよく思い出せない。
「月子さんは」
フォークを持たない方の細い指先を自分のものに絡ませて、颯斗は薄く微笑んだ。掌から伝わる微かな月子の体温が心地良い。
「颯斗君?」
「甘いもの、お好きなんですね」
驚いたようにして瞬きを繰り返す月子を誤魔化し、颯斗は言葉を紡いだ。うん、好きだよ。握り返してくれる掌に彼女を感じながら、その言の葉の音を聞く。楽譜に描かれたメロディを奏でるような声音に僅かな間、うっとりと瞳を閉じた。本当にあなたという人は。
「……食べてしまいたいです」
くすりと微笑を零し、白く滑らかな手に口付けを落とした。颯斗君っ!動揺したような声を遠くところから聞いて、ゆっくり顔を上げる。染め上がっている上気した頬に触れて、颯斗は嘘っぽい謝罪を口にした。すいません、つい。
「もう……。そんなにケーキが食べたいならあげるのに」
月子は恥ずかしそうに顔を伏せると、味が薄くなってしまったアイスティーに手を伸ばす。あんまり美味しくなくなっちゃった。ストローを口に含み、不機嫌そうに呟く姿が子供のように可愛らしい。
「最初は美味しかったんですけどね」
にこやかに笑い、小さな嘘の科白を吐いた。本当は美味しくなかった、と言えば彼女はどんな顔をするのだろう。ケーキもアイスティーも、あなたの味に比べたら。
微笑みを顔から消去し、颯斗は月子の食べかけたケーキの皿を手に取る。突き刺すのは勿論、苺から。
(ストロベリーショートケーキのティータイム)
そらそら誕生日のときに書いたもの。ケーキの話が書きたかったんです。
メニュー APH
2011.12.31 *Sat
こちらはキタユメ。さまの作品、「Axis powers ヘタリア」の二次創作SS置き場です。
本家さま、実在の国家や歴史上の人物、事件、史実、団体等とは一切関係ありません。
また、それらを中傷する意思がないことをご理解下さい。
作品内ではそれぞれのキャラクターを人名表記することが多いと思いますが、国名の場合もあるかもしれません。
本編未登場キャラクターは捏造設定です。
このサイトでのにょたりあ設定は、本家様設定の各キャラクターの女性版・男性版です。女体化ではありません。
SS
cry down / 勝利の女神が微笑んだ / 雨が咲く / チューリップに想いを / まどろんで、涙 / すり抜けたことば / 憂鬱なティータイム / ため息をついて、僕はいつも諦める / それはさよならによく似ていた / 拒みはしないだろうけど / 女の子はお菓子で出来ている / 泣きそうな君へ / そんなつもりじゃない / かなしくなるふたり / すき / 恋の音色 / 複雑な彼ら / Kiss’s Trick / 数日遅れのトリート / An Italian man and a poor knight / 美しい女性 / birthday present / きみがだいすき / 彩色リボン / 引き裂いてみせてよ / そろそろさよなら / この声は届かない / happy brothers / a ribbon / 涙腺の緩め方 / どうしても / 落つる心 / 恋と音楽 / ちいさな恋が終わる日に / とある青年と少女 / 初めて微笑んだ日を覚えているかい / 君の瞬きが告げる / キスまでの過程 / Amore mio
頂きもの
Q.記念日には何を贈呈すべきか?
本家さま、実在の国家や歴史上の人物、事件、史実、団体等とは一切関係ありません。
また、それらを中傷する意思がないことをご理解下さい。
作品内ではそれぞれのキャラクターを人名表記することが多いと思いますが、国名の場合もあるかもしれません。
本編未登場キャラクターは捏造設定です。
このサイトでのにょたりあ設定は、本家様設定の各キャラクターの女性版・男性版です。女体化ではありません。
SS
cry down / 勝利の女神が微笑んだ / 雨が咲く / チューリップに想いを / まどろんで、涙 / すり抜けたことば / 憂鬱なティータイム / ため息をついて、僕はいつも諦める / それはさよならによく似ていた / 拒みはしないだろうけど / 女の子はお菓子で出来ている / 泣きそうな君へ / そんなつもりじゃない / かなしくなるふたり / すき / 恋の音色 / 複雑な彼ら / Kiss’s Trick / 数日遅れのトリート / An Italian man and a poor knight / 美しい女性 / birthday present / きみがだいすき / 彩色リボン / 引き裂いてみせてよ / そろそろさよなら / この声は届かない / happy brothers / a ribbon / 涙腺の緩め方 / どうしても / 落つる心 / 恋と音楽 / ちいさな恋が終わる日に / とある青年と少女 / 初めて微笑んだ日を覚えているかい / 君の瞬きが告げる / キスまでの過程 / Amore mio
頂きもの
Q.記念日には何を贈呈すべきか?


